Greeting

会長あいさつ
 
鋼橋技術研究会
会長 藤野 陽三

 道路、鉄道、ダム、上下水道など世の中にインフラはさまざまなものがありますが、橋はその雄と言えます。厳しい自然環境条件や使用条件にさらされる中で常に高い機能的価値や安全性を発揮することが要求されるだけでなく、文化的価値や、場合によっては歴史的価値をも期待されるのが橋梁だからです。また、重力に逆らって空間上の二点を跨ぐということから非常に高い技術力が要求されることも橋梁の特徴の一つです。計画から始まり設計、製作・架設、施工に数年以上、実際に使われてから保守、改修、架け替えに至るタイムスケールは多くの場合50年を超えますので、構造や材料のことはもちろんのこと、意匠にも、さらには文明に対しても深い造詣が必要となり、総合専門職としてのエンジニアの力量が問われます。世界的にもブリッジエンジニアの力量が問われます。世界的にもブリッジエンジニアという職が定着しているのはそのような理由からです。
 
 学会や協会の活動の中で、構造、材料、意匠などを議論する場は数多くありますが、研究者主体であったり、実務者主体であったり、あるいは管理者主体であるのがほとんどです。総合技術としての「橋梁」を考える上で重要なことは、総合技術体としての「橋梁」に関心のある人が一体となって議論する場であると考えています。鋼橋技術研究会はメーカーに加えてコンサルタントのメンバーも多く、学はもとより、発注者も加わった組織であり、そのような場を目指して設立されたものです。鋼橋、英語で言えばSteel Bridgesということですが、鋼材だけでできた橋梁は存在しませんから、鋼橋技術研究会では、いわばあらゆる鋼系橋梁を視野に、コンクリートや他の材料も、また合成構造や複合構造も当然、対象になります。
 
 鋼橋技術研究会は今から30年前の1984年に伊藤學先生(現東大名誉教授)とメーカーの方々が中心となり発足しました。しばらくは、本四連絡橋をはじめ、大型橋梁プロジェクトに恵まれた時代が続き、長大化に伴う技術的課題にチャレンジした時期が続きました。
 
 1995年の兵庫県南部地震では耐震の問題を投げつけられました。その後、耐震技術が開発され、耐震補強も進み、2011年3月の東北地方太平洋沖地震や2016年熊本地震では一定の成果をみましたが、細かいところではまだまだ課題を抱えていると見受けます。発生が懸念されている東南海トラフでの巨大地震や東京直下地震への備えは重要な課題です。橋梁の地震被害は復旧に時間を要する湯合がありますので、被害を最小限に留めるための地震レトロフィットのための技術開発や早期復旧のための技術開発が欠かせません。
 
 加えて最近は維持管理に関わる課題が増える傾向にあります。このような中で2012年12月の笹子トンネルにおける不幸な事故が発生し、その前後から議譲されていたインフラの大規模修繕、更新が本格的に具体化してきました。この新しく、重要な課題にも取り組むのが研究会の役割です。
 
 鋼橋技術研究会は、今後とも橋梁、とくに鋼橋をプロフェッションとするエンジニアが「よりよい橋梁、よりよい鋼橋」にむけて、自由に議論し、自由に提案できる場として活動し、社会に貢献したいと考えています。会に参加することで、新しいことを学び、充実した時間を過ごし、多くの知己を得ていただければと思います。お陰様で、この5年間に法人会員が36から47と、11も増えました。とても喜ばしいことです。さらに多くの方の参加を期待し、またご支援をお願いいたします。