役 割
支承は、橋梁上下部構造間に作用する荷重を伝達する部材です。上下部構造の接点である支承は、上部構造の死荷重や活荷重などの鉛直荷重を、確実に下部構造に伝達するとともに、地震や風などによる橋軸方向および橋軸直角方向のそれぞれの水平荷重も全て支承を通じて伝達されます。また、上部構造の温度変化による伸縮や活荷重たわみによる回転変位、地震時の変位に対しても確実に追随できるものでなければなりません。



 性 能
(1)
上部構造の鉛直荷重を下部構造に伝達させます。
 
(2)
地震や風による水平荷重を下部構造に伝達させます。
 
(3)
上部構造の変位に対して確実に追随します。
 
(4)
地震の水平荷重を1つの橋脚だけでなく、各橋脚に分散できます。
 
(5)
地震時の水平荷重を減衰させることができます。
 
>>>荷重分散設計および免震設計

 種 類
従来までは鋼製支承が一般的に用いられてきましたが、1995年の阪神淡路大震災以来、荷重分散設計や免震設計が可能なゴム支承が多く使用されるようになりました。
上部工橋梁形式や下部工形式などにより使い分けされています。
線支承
  支承板支承
  ピン支承
  ピボット支承
  ゴム支承



性能および特徴
上沓と下沓の接触面は、前者を平面、後者を円柱面とし、それぞれが線接触した構造で一方向の移動・回転をにがします。上沓の材料は、主に鋼板が使用されますが、下沓の材料は、鋳鉄品と鋳鋼品の2種類があります。
線支承は、構造が単純であるので製造は容易ですが、他の支承と比べると摩擦係数が大きくなるため、鉛直荷重が大きい橋梁にはあまり適用されません。小スパンで鉛直荷重の小さい歩道橋や仮設橋に使用されています。
 
|長 所|
構造が単純でコストを抑えることができます。

|短 所|
鉛直荷重が大きい橋梁には採用できません。
 
接触部の損傷が大きく、摩擦係数も所定の値より大きくなることがありますので、可動支承として用いる場合には、反力や適用支間が限定されます。





性能および特徴

上沓と下沓の間に支承板を挿入したもので、支承板の種類により高力黄銅支承板支承と密閉ゴム支承板支承に分類されます。この支承の移動・回転は共にその方向を自由にすることが可能です。
上沓・下沓の材料は鋼板および鋳鋼品が使用され、支承板は高力黄銅鋳物に固体潤滑材を埋め込んだものとフッ素樹脂板、中間プレートおよびゴムプレートを組み合わせたものとがあります。
また、この支承は他の支承と比べて支承高さを低くすることができますので、支承の転倒に対する安定性が優れています。中スパンの橋梁に使用される代表的な鋼製支承です。
 
|長 所|
鋼橋に用いられる支承としては最も実績の多い支承です。
 
支承高が低いため、転倒に対する安定性に優れています。
 
全方向の回転に追随できます。

|短 所|
阪神淡路大震災の時に損傷事例が見受けられてから採用が減少しました。





性能および特徴

上沓と下沓の間にピンを配置し、ピンの回転機能を利用した支承です。また、下沓と底板の間に複数のローラーを挿入することにより移動にも追随させることができます。これをピンローラー支承といいます。
上沓・下沓の材料は主に鋳鋼品が使用され、ローラー材は一般鋼材が使用されています。移動量の大きな長大橋や大反力支承に適した支承です。
ピン支承には支圧型とせん断型のタイプがあり、せん断型ピン支承は負反力に対して最も信頼のおける支承といえます。
 
|長 所|
大きな回転変形に追随できます。
 
負反力に対して信頼性があります。

|短 所|
1方向の回転しか追随できません。
 
支承高が高くなります。





性能および特徴

上沓と下沓の間に1組の球面(ピボット)を設け、回転方向を自由にした構造をもつ支承です。また、下沓と底板の間に複数のローラーを挿入することにより移動にも追随させることができます。これをピボットローラー支承といいます。
上沓・下沓の材料は主に鋳鋼品が使用されます。大スパン及び中スパンの橋梁に適した支承です。ピボット支承には上部工側ピボット支承と下部工側ピボット支承の間を鋼製パイプでつないだロッキングピアピボット支承があります。
 
|長 所|
全方向の回転に追随することができます。

|短 所|
支承高が高くなります。
 
他の支承に比べコストがかかります。





性能および特徴

荷重分散型ゴム支承は、ゴムのバネ特性や変形特性を利用して地震時の水平力の分散比率を自由に設定でき、より合理的な橋の設計を可能にした支承です。
上記の特性に更に、ゴムの塑性域の変形性能を利用し減衰効果を期待したものが免震型支承です。免震型ゴム支承は、地震エネルギーを吸収し橋の振動を長周期化させます。
上沓・下沓には主に一般鋼材が使用されています。また、ゴムには天然ゴムが使用されています。
 
|長 所|
橋脚に作用する水平力を分散または減衰させることができます。
 
全方向への移動や回転が可能です。

|短 所|
鋼製支承に比べ振動が大きくなるといわれています。
 
負反力があまりにも大きいと適用できない場合があります。
 
反力が大きくなると、鋼製支承に比べ支承面積が大きくなります。