役 割
伸縮装置とは橋梁の路面端部に設置されるもので、気温の変化による橋梁の伸縮、地震時および車両の通行にともなう橋梁の変形を吸収し、自動車や人が支障なく通行できるようにするものです。

>>>変形に対する適応状況

自動車が直接載るため騒音や振動の原因になる場合も多く、橋梁の規模、通行する車両の特性、周辺住民への配慮などを考慮して形式選定を行う必要があります。



 性 能
(1)
常時、温度変化時および地震時の橋の変形を吸収し、車両が支障なく走行できるよう路面の平坦性が確保できます。
 
(2)
設置する道路の性格、橋の形式、橋の重要度、交通量に応じて適切な形式の選定が可能です。
 
(3)
設計においては、活荷重、地震の影響、強度、排水性および水密性、騒音・振動、耐久性などを考慮できます。

 種 類
伸縮装置を構成する部材は主に鋼製、ゴム製が用いられています。伸縮量や取り替えの考え方などにより使い分けられています。
  鋼製形式
  ゴムジョイント形式
  特殊形式ジョイント(モジュラー式、他)
  埋設ジョイント
 


性能および特徴

鋼材で組み立てた櫛型の構造形式で、鋼橋に用いられる一般的な形式です。伸縮量の適用範囲が大きいため、長大橋にも採用されます。また、耐久性にも優れていますので、交通量の多い路線の橋梁にも適用可能です。一般的な構造はフェースプレートを櫛形状に加工したもので、鋼製フィンガージョイントと呼ばれています。
 
|長 所|
適用伸縮量の範囲が大きく、斜橋にも対応できます。
 
適切に設計、施工されたものは耐久性に富んでいます。
高耐久性、長寿命です。

|短 所|
一般的に補修がやりにくいです。
 
比較的工費が高くなります。
 
疲労損傷に留意する必要があります。





性能および特徴

各種形状のゴム材と鋼材とを組み合わせた形式です。伸縮量が100mm以下の場合に用いられます。床版遊間部で荷重を支持できるようにしたもので、橋梁の変位はゴムのせん断変形で吸収し、輪荷重はゴムの中に埋め込んだ鋼材によって支持する構造となっています。
 
|長 所|
走行性が良好です。
 
橋梁の複雑な移動、変形に追従します。
 
鋼製よりも安価です。
 
軽量なため、施工性に優れています。
 
補修性が比較的良好です。

|短 所|
耐久性がやや劣ります。
 
除雪時の作業性が悪くなります。
 
比較的小さい伸縮量にしか適用できません。





性能および特徴

ゴム材と鋼材とを組み合わせた形式です。橋の変形および縦断勾配による段差もベアリングなどの変形により追従することができます。また、全方向に移動可能なため、免震橋梁や曲線橋にも採用可能です。
 
|長 所|
全方向に移動可能です。
 
長大橋に適用可能です。
 
水密性に優れています。
 
耐久性に優れています。

|短 所|
一体化の製品のため、部分的な損傷でも取り替えが必要です。
 
路面に平行溝ができるので、走行振動が発生しやすいです。





性能および特徴

橋梁の路面端部の継目部を舗装と一体化させたものです。主にコンクリート橋に用いられます。伸縮装置で舗装が絶たれることが無い(ノージョイント化)ため、走行性に優れています。また、車両通行時の振動、騒音および衝撃が無く、さらに防水性にも優れています。

 
|長 所|
走行性に優れています。
 
橋梁の複雑な移動、変形に追従します。
 
施工が容易で安価です。
 
舗装と同様の施工を行うため、維持補修性に優れています。
 
止水性に優れています。

|短 所|
耐久性が劣ります。
 
構造上、車両の制動、発進が繰り返される個所では、耐流動性等の問題があります。
 
伸縮量が20〜30mm程度のため、一般的に鋼橋には採用されていません。