役 割

床版とは、自動車や人などの荷重を直接受ける部材です。
床版は、荷重を受けた際、走行性に支障をきたすような変形を起こさず、荷重を主桁などに伝える役目を有しています。
床版の材料としては、コンクリートを用いたものや、鋼を用いたものがあり、最近では、鋼とコンクリートを合成させたものも用いられています。



 性 能
(1)
想定する自動車荷重や群集荷重に対し、安全性および耐久性を損なう有害な変形が生じません。
 
(2)
自動車の繰り返し走行に対し、疲労耐久性が損なわれません。
 
(3)
床版が受けた荷重を主桁などの構造部材に確実に伝えます。

 種 類
床版には鉄筋コンクリートを用いたRC床版が最も一般的に用いられておりますが、上部工形式や架設地点の状況などにより使い分けられています。
  RC床版
  PC床版
  鋼床版
  合成床版
  I形鋼格子床版
  オープングレーチング床版


道路橋示方書・同解説U鋼橋編 (社)日本道路協会 平成8年12月
橋建協標準合成床版 (社)日本橋梁建設協会 平成13年1月
千歳ジャンクションパンフレット 日本道路公団、(株)横河ブリッジ
グレーティングカタログ 新日本製鐵(株)




性能および特徴

RC床版とは、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)を用いた床版のことです。圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋とを組み合わせた、最も一般的に採用されている床版です。他の床版も同様ですが、死荷重および活荷重に対し、有害な変形やひび割れが生じず、走行性を確保させなければなりません。
RC床版は、最小床版厚を満足させ、圧縮側のコンクリート応力度と引張側の鉄筋応力度が許容応力度を越えないように設計します。

 
|長 所|
最も一般的な床版であり、経済的に優れています。
 
現場への材料搬入が容易であり、施工上も特に大型機器を必要としません。
 
複雑な路面形状にも対応が可能です。

|短 所|
床版支間(主桁間隔)が長いと採用できません。 (3m以下)
 
耐用年数が最も短く、床版打ち換えの必要となる可能性があります。
 
コンクリートの施工に天候が影響し、品質の確保や施工誤差に課題のあることが指摘されています。
 
他の床版形式に比べて床版自重が大きくなります。





性能および特徴

鉄筋コンクリートはコンクリートが圧縮力を受け持ち、鉄筋が引張り力を受け持つという合成構造となっておりますが、基本的には引張りに弱いという性質を持っています。この弱点を補うために鉄筋コンクリートに圧縮力(プレストレス)を導入し、床版に引張り力を生じさせない、または、引張り力を小さくする方法を用いたコンクリートのことをプレストレストコンクリートと呼びます。PC床版とはプレストレストコンクリート(Prestressed Concrete)を用いた床版のことです。
PC床版には主にPRC床版が採用されており、死荷重に対しては引張応力度の発生を、活荷重に対してはひび割れの発生を許しません。なお、風や衝突荷重などに対しては床版のひび割れ幅を制限する設計を行います。

 
|長 所|
コンクリートのひび割れ発生を防止することができます。(耐久性向上)
 
プレストレスを導入することにより、床版支間(主桁間隔)を広くすることが可能となり、主桁本数を少なくすることができます。
 
プレキャスト床版とすることにより、現場での工程を短縮させることもできます。

|短 所|
路面線形が複雑な場合には対応できません。
 
高強度コンクリートを用いるための品質管理やプレストレス導入に対する管理などに配慮する必要があります。





性能および特徴

鋼床版とはデッキプレートと呼ばれる鋼鈑を使用した床版のことです。デッキプレートだけでは、車輌荷重により変形が大きくなりますので、縦方向に配置した縦リブと横方向に配置した横リブと呼ばれる補強部材(補剛材)により補剛した構造となっています。なお、鋼床版は床版としての役割りのみならず、主桁の一部(上フランジ兼用)ですので、主桁としての性能を有する必要があります。

 
|長 所|
鋼部材で床版を構成しておりますので、コンクリート系床版に比べ重量を軽くできます。
 
床版の厚さを抑えることができますので、構造高が低くなります。
 
現地での工期を大幅に短縮することができます。

|短 所|
輪荷重を直接支持するため、疲労損傷に留意する必要があります。
 
たわみ易いため、アスファルト舗装に損傷の生じる恐れがあります。





性能および特徴

合成床版とは鋼とコンクリートとの合成構造を採用した床版のことです。通常のRC床版は木製の形枠にコンクリートを流し込み、コンクリートが硬化した後形枠を撤去します。この形枠を鋼鈑に置き換えて部材の一部として機能させたものが合成床版です。なお、合成床版の鋼製型枠とコンクリートとは適当なずれ止めを用いて一体化させなければなりません。この鋼製型枠は型枠であると同時に引張りに抵抗する部材として設計します。
 
|長 所|
床版の長支間化に対応できます。
 
現場での工期を短縮することができます。
 
床版の耐久性が向上します。

|短 所|
鋼材が表面に露出するため、塗装などの防錆対策が必要となります。
 
何らかの原因により鋼鈑とコンクリートとの間に水が浸入した場合の水抜き対策が必要です。






性能および特徴

I形鋼格子床版とは小型のI形鋼を主要部材として、これに直角に配置された鉄筋との格子部材にて構成された床版のことです。床版支間方向に配置されたI型鋼と圧縮側のコンクリートとの合成断面にて、死荷重と活荷重に抵抗します。床版下面にある底板はコンクリート打設時の型枠としての役割りがあります。底板が応力部材ではないことが合成床版との大きな違いです。
|長 所|
工場にて格子部材に形枠プレート(鋼製)を設置していますので、形枠の設置および撤去が不要となり、施工期間を短くすることができます。

|短 所|
鋼材が表面に露出するため防錆対策が必要となります。一般的な防錆処理として溶融亜鉛メッキが用いられています。
 
何らかの原因により鋼鈑とコンクリートとの間に水が浸入した場合の水抜き対策が必要です。





性能および特徴

オープングレーチング床版とは形鋼で格子状に構成された部材を用いた床版で、コンクリートなどの打設は行いません。橋面がグレーチングであり、積雪しないため除雪する必要がありません。また吊橋などで耐風安定性を向上させるために用いられることもあります。通常の床版とは異なり、アスファルトなどの舗装がないため、滑り止めに対する性能を有していなければなりません。
 
|長 所|
軽量化を図ることができます。
 
風の吹き抜けが可能であるため、長大橋などの耐風安定性を向上させることができます。
 
積雪することがないため、除雪の必要がありません。

|短 所|
オープングレーチングであり、物が橋梁の下に落下する可能性があるため、耐風性能に影響がない範囲で落下物対策を講じる必要があります。