「鋼橋」がいつも安全でベストな状態でいられるために健康チェックは欠かせない。
「病気」の「早期発見」「早期治療」が大切なのはボクたちと同じなんだよね。


 鋼橋の健康診断

道路橋の寿命は通常50年程度といわれ、この間自動車や人が安全かつ快適に渡れることが求められます。そのため、橋も人間と同様に定期的に診断を行い健康状態について調べる必要があります。また、健康診断で悪いところが見つかった時には、適切な方法で治療(補修)を行わなければなりません。 ここでは、鋼橋の健康診断・補修の方法について、橋の路面であるコンクリート製の床(鉄筋コンクリート床版)、自動車や人そして橋自身の重さを支える鋼製の主桁(鋼桁)を例に紹介します。
図1 橋の構造
 鋼橋の健康状態をチェック

■鉄筋コンクリート床版
床版にひび割れがないか、コンクリートのはがれ落ちがないかを目で見て調べます。また、ハンマーなどで直接たたくことにより、目に見えない部分についても調べます。これらの調査の結果 、ひび割れが発見された時は写真撮影をしたり、ひび割れの長さ・幅を計測して状況を記録します。

■鋼桁
桁の点検項目としては、桁(鋼材)のひび割れ、損傷、事故などによる変形、ボルトのゆるみや脱落、塗装のはがれ、さびの発生があり、これらは目での観察やたたいたり手で触ることによる外観検査で調べます。また、桁(鋼材)のひび割れなどは塗装に隠れてわかりにくい場合もあるので、超音波などの計測器を利用し内部の状況を調べます。(図2)

図2 床版ひび割れの進展
 鋼橋の健康状態は?

■鉄筋コンクリート床版
床版の寿命は、その橋を通過する車両の重さにより大きく変化します。橋をつくったときに予想したよりも重い自動車がたくさん走った場合、床版は壊れやすくなり寿命が短くなります。 床版の破壊の順序は、最初に平行線状にひび割れが発生し、次に碁盤目状のひび割れとなり、さらにひび割れが進展すると、路面 から水が漏れだし、最後にコンクリートがはがれ落ちるという順序をたどります。

■鋼桁
鋼桁の主な損傷としては、さびと金属の疲労が挙げられます。
●さ び
さびを防ぐため鋼桁は塗装されていますが、塗装のはがれ等によりさびが発生します。さびが発生すると桁を構成する鋼の板厚が減少し、重さを支える能力が小さくなります。さびがひどくなると、最終的に通 過する車両の重さを支えることが出来なくなり重大な問題となります。塗装の寿命はおよそ10年程度ですが、海岸部では塩分の影響を受けるためさらに短くなります。さびの発生しやすい箇所は、鋼桁の角など塗装がつきにくい部分や、雨水がたまりやすい場所です。さびの程度が小さければ再び塗装を行いますが、ひどい場合は鋼桁の補強や取り替えが必要となります。
●疲 労
道具を使わずに細い針金を切断するとき、針金を繰り返し折り曲げることで切断できることは誰もが知っていますが、このように金属が繰り返し力を受けることによりもろくなることを金属疲労といいます。鋼桁では車両の通行により繰り返し力を受けるため、溶接した箇所などにある小さな傷が、しだいに大きな亀裂になるなどの被害が発生しています。

 治療のしかた

■鉄筋コンクリート床版
床版のひび割れが進んだ場合には治療(補修)が必要となります、ここでは代表的な「打ち替え工法」「鋼板接着工法」を紹介します。(図3)
●鋼板接着工法
コンクリート床版の下面に鋼板を接着し、床版と一体化させることにより、自動車荷重に対する抵抗力を増やす工法です。鉄筋の量が不足している床版で損傷があまり進んでいない場合に適しています。
●打ち替え工法
ひび割れの発生した床版を全面的に、あるいは部分的に撤去して新たに床版をつくり直す工法です。床版の損傷がひどい場合に採用されます。

図3 鋼板接着二法

■鋼 桁
●鋼材のさび
雨水やほこりがたまり、湿った状態になりやすい場所では部分的なさびによる腐食が発生している場合があります。このような箇所で腐食により鋼材の板厚が薄くなってしまい、自動車などの重さを支えることが難しくなっている場合、一般的には補強材料により補修が行われます。
●鋼材の疲労
亀裂の発生した箇所の補修・補強工法としては、補強による方法や小さな亀裂の場合には亀裂の先端に孔(ストップホール)をあけ、これ以上亀裂が広がらないようにする方法や、亀裂を溶接で埋める等の方法が用いられます。(図4)

図4 ストップボールの適用例