空気と雨がある限り(なかったら困るよね)、「鋼橋」にはつねに「さび」からくる危険につきまとわれている。
どうやって、「さび」を防いでいるんだろう?


 さびから鋼橋を守る

鋼材のイメージとは? の問いに対して「錆びる」と言う意見を多く聞きます。鋼材は水と酸素の両方に接しなければ錆びることはありませんが、通常、鋼橋が建設される大気中では、空気(酸素)があり、雨や結露水などにより水が供給されますので、必ず錆びが発生します。この錆びを放置しておきますと、次第に鋼材の板厚が減少し、しまいには穴があいてしまい、橋の構成部材としての役割を果たせなくなり、治療が必要になります。また、橋梁は、道路などの公共建造物として建設されることが多いので、長い間、多くの人が安全に使用できなければなりません。このため、鋼橋の各部材を錆びから防ぐことを防食と呼び、鋼橋の寿命が少しでも延ばせるよう、様々な防錆防食方法が考案、実用化されています。
以下に、現在行われている代表的な防錆防食方法について説明します。

 塗装による防錆

塗装(ペンキ)は、最も一般的な防錆方法であり、歴史も最も古い方法です。塗装による方法は下塗り(鋼材に一番近い層)に錆びを防ぐ性質の塗料を中塗り、上塗りには外部からの水や不純物などの侵入を遮断する性質の塗料を使用するなど何種類かの塗料を塗り重ねた薄い膜(合計約0.25mm)により、さびの発生を抑える方法です。さらに、上塗りには景観性を考慮して色彩 を自由に選択することができます。 塗装による方法は、必ず数年〜十数年毎に防錆上あるいは景観の再生のための塗替えが発生します。

 溶融亜鉛メッキによる防錆

昔ながらのトタン板などに施されているもので、高温で溶かした亜鉛を満たしたメッキ漕(プール)に橋の部品を浸けることにより、鋼材の表面に亜鉛の膜が張られます。この亜鉛の膜が錆びを防ぐのに大変優れています。ただし、色が銀色のため景観性から使用される場所が限られます。

 耐候性鋼材の使用

山間部や高速道路のオーバーブリッジなどで錆びた橋を見たことがあると思いますが、この橋は耐候性鋼材と言う特殊な鋼材で塗装などを施さず、裸で使用されています。耐候性鋼材は、数年〜数十年かけて鋼材の中に添加されている銅やニッケル、リンなどの化学成分の働きで錆びの性質が徐々に変化し、次第に緻密な錆びで鋼材表面が覆われ、その後の錆びの進行を防ぐ性質をもった鋼材です。したがいまして、塗装のように塗替えなどの維持管理は不要となります。

写真1 日生野橋(裸で使用)

 乾燥、除湿による防錆

橋梁の種類の中に箱げた内がありますが、この箱桁内は湿気により結露水が発生し、さびの発生の要因となります。このため、一般的に塗装が行われてきました。これに対して箱桁内に住宅と同じように除湿機(乾燥した空気を送りこむことで除湿)を設置して、常時乾燥した状態にする防錆方法(図1)が我が国でも試みられ始めました。また、同様の理由で吊橋のメインケーブルにも送気を行う方法が、明石海峡大橋などで行われています。

図1 乾燥空気による 桁内面 の防錆方法